「便利な関数を使いたいけど、どこにあるの?」「同じ処理を何度も書くのが面倒…」
そんな悩みを持つPython初心者の方に向けて、この記事では標準ライブラリと自作関数の基本的な使い方をわかりやすく解説します。
Google Colabで実行できるコード例と、ChatGPTの活用法も交えて学んでいきましょう!
▶ 前回の記事はこちら:👉 ChatGPTで学ぶPython関数の応用入門
標準ライブラリとは?インストール不要の便利な道具箱
Pythonには、最初から備わっている「標準ライブラリ」という便利な機能のセットがあります。
- 外部から追加インストールせずにすぐ使える
- 専門的な処理も簡単に実装できる
たとえば、数学の計算、乱数の生成、日付や時間の操作などは、すべて標準ライブラリで対応可能です。
Pythonでは、ライブラリを使うときに import ライブラリ名
と書いて読み込みます。
標準ライブラリを使ってみよう(Colab対応)
ここでは、よく使われる3つの標準ライブラリをご紹介します。
mathライブラリ(数学)
Pythonに最初から入っている数学(mathematics)用の標準ライブラリです。
日常では使わないけれど、少し高度な計算(平方根、円周率、三角関数など)をしたいときに便利です。
import math
でライブラリを読み込みましょう。
math.sqrt(x)
平方根を求めます(√ルートのこと)
import math
print(math.sqrt(16)) # 結果: 4.0
Google Colabの実行結果:

math.pi
円周率 π(パイ) を表す定数
import math
print(math.pi) # 結果: 3.141592653589793
Google Colabの実行結果:

math.pow(x, y)
x の y 乗(累乗)を計算
print(math.pow(2, 3)) # 2の3乗 → 結果: 8.0
Google Colabの実行結果:

math.floor(x) と math.ceil(x)
小数の切り捨てと切り上げ
print(math.floor(3.7)) # → 3(切り捨て)
print(math.ceil(3.2)) # → 4(切り上げ)
Google Colabの実行結果:

math.sin(x) など(角度は「ラジアン」)
三角関数も使えます(中学・高校数学で習う sin, cos, tan)
print(math.sin(math.pi / 2)) # 結果: 1.0(90度のsin)
Google Colabの実行結果:

mathライブラリのまとめ
関数・定数 | 内容 | 例 |
---|---|---|
math.sqrt(x) | 平方根(√) | math.sqrt(25) → 5.0 |
math.pi | 円周率 π | math.pi → 3.1415… |
math.pow(x, y) | 累乗 | math.pow(2, 4) → 16.0 |
math.floor(x) | 小数切り捨て | math.floor(3.9) → 3 |
math.ceil(x) | 小数切り上げ | math.ceil(3.1) → 4 |
どんなときに使うの?
- √(平方根)や累乗を使いたいとき
- 円の面積を求めたいとき(πが必要)
- 三角形の角度や距離を計算したいとき
- ゲームやグラフィックで座標を扱うときにもよく使います
補足
math
ライブラリの関数は float(小数)で返されることが多いです。- Pythonの
**
演算子(例:2**3
)でも累乗はできますが、math.pow()
の方が読みやすく、関数として整理しやすいです。
randomライブラリ(ランダム)
random
ライブラリは、Pythonでランダム(=予測できない)な数や選択肢を使いたいときに使う標準ライブラリです。
たとえば、「サイコロをふる」「くじを引く」「ランダムに人を選ぶ」といった処理ができます。
import random
でライブラリを読み込みましょう。
random.randint(a, b)
a〜b(整数)の中からランダムに1つ選ぶ
例えば、random.randint(1, 10)は、1〜10の中からランダムな数を1つ選ぶ
例:
import random
print(random.randint(1, 6)) # サイコロ(1〜6)をふる
Google Colabの実行結果(ランダムは実行の度に結果が変わります):

random.choice(リスト)
リストの中からランダムに1つ選ぶ
items = ['りんご', 'バナナ', 'みかん']
print(random.choice(items)) # フルーツくじ
Google Colabの実行結果(ランダムは実行の度に結果が変わります):

random.shuffle(リスト)
リストの中身をランダムに並び替える(シャッフル)
cards = [1, 2, 3, 4, 5]
random.shuffle(cards)
print(cards)
Google Colabの実行結果(ランダムは実行の度に結果が変わります):

random.random()
0.0 以上 1.0 未満の小数をランダムに返す
print(random.random())
Google Colabの実行結果(ランダムは実行の度に結果が変わります):

randomライブラリのまとめ
関数 | 説明 |
---|---|
randint(a, b) | a〜bの整数をランダムに1つ |
choice(リスト) | リストからランダムに選ぶ |
shuffle(リスト) | リストをランダムに並び替える |
random() | 0〜1未満のランダムな小数を返す |
どんなときに使うの?
- ゲームで敵の動きをランダムにしたいとき
- おみくじや抽選アプリを作るとき
- データの順番をランダムに並べたいとき
- 機械学習でデータの一部をランダムに取り出すとき
注意点
- 毎回結果が変わるので、再現性が必要なときは
random.seed()
を使います
(※初学者のうちは気にしなくてOK)
datetimeライブラリ(日付・時間)
Pythonに標準で入っている、日付や時間を扱うためのライブラリです。
「今日の日付を知りたい」「現在の時刻を表示したい」「数日後の日付を計算したい」といった処理ができます。
import datetime
でライブラリを読み込みましょう。
datetime.date.today()
今日の日付を取得します。
import datetime
print(datetime.date.today()) # 例:今日の日付
datetime.datetime.now()
今の日時(年月日+時分秒) を取得します。
print(datetime.datetime.now()) # 例:今の日時
datetime.datetime.strftime(フォーマット)
日付や時刻を「好きな形」で文字列に変換できます。
now = datetime.datetime.now()
print(now.strftime('%Y年%m月%d日 %H時%M分'))
フォーマット指定子 | 意味 |
---|---|
%Y | 年(4桁) |
%m | 月(01〜12) |
%d | 日(01〜31) |
%H | 時(00〜23) |
%M | 分(00〜59) |
%S | 秒(00〜59) |
datetime.timedelta()
「◯日後」「◯日前」などの日付の計算ができます。
today = datetime.date.today()
future = today + datetime.timedelta(days=7)
print(future) # 今日から7日後の日付
datetimeライブラリのまとめ
機能 | 使い方例 |
---|---|
今日の日付を表示 | datetime.date.today() |
現在の日時を取得 | datetime.datetime.now() |
日付を好きな形式に整える | .strftime('%Y/%m/%d') |
日付の足し引き(±日数) | timedelta(days=◯) を使って計算 |
どんなときに使うの?
- アプリに「投稿日時」や「更新日」を表示したいとき
- 今日から7日後、30日前などを自動で計算したいとき
- 日付の形式を日本語や見やすい形式に整えたいとき
- Pythonで予定表・カレンダー・記録アプリを作るとき
よくあるミスと注意点
よくあるミス | 解説 |
---|---|
import datetime を忘れる | ライブラリを使う前に必ず読み込みが必要です |
.now() と .today() の混同 | now() は「時刻あり」、today() は「日付だけ」 |
フォーマット文字の書き間違い | %Y , %m , %d などは正確に記述しましょう |
自作関数を作ってコードを整理しよう
自作関数とは、「何度も使いたい処理を1つにまとめて、名前をつけたもの」です。
関数を作っておくと、同じコードを何回も書かなくてよくなり、プログラムがすっきり・整理されます。
関数の書き方:
def 関数名(引数):
処理内容
def
(define=定義)で関数を作ると宣言します関数名
は自分で決めてOK(例:greet
,add
,show_message
など)引数
は関数に渡す情報。必要なければ省略もOK- インデント(字下げ)に注意(半角スペース4つ or タブ1つ)
自作関数の例:
def greet():
print("こんにちは!")
greet() # 実行すると「こんにちは!」と表示される
引数を使う関数
def greet(name):
print(name + "さん、こんにちは!")
greet("たろう")
値を返す関数(return)
def add(a, b):
return a + b
result = add(3, 5)
print(result) # 結果:8
このように、処理を関数にまとめることで、コードの見通しが良くなり、何度も再利用できます。
標準ライブラリ×自作関数の組み合わせ例
標準ライブラリを自作関数の中で使えば、さらに強力なツールになります。
例:乱数でじゃんけんをする関数
import random
def janken():
hands = ["グー", "チョキ", "パー"]
print("あなたの手:", random.choice(hands))
janken()
結果(実行ごとに変化):
あなたの手: パー

ChatGPTを使って疑問をすぐ解決!
ChatGPTは、標準ライブラリや自作関数の使い方に迷ったときの強い味方です。
こんな質問がおすすめ:
- 「mathライブラリで三角関数を使いたい」
- 「日付を日本語形式で表示するには?」
- 「randomを使ってくじ引き関数を作って」
コードの一部をコピペして聞けば、意味や修正案を丁寧に返してくれます。
初心者がつまずきやすいポイントと対策
よくあるミス | 解説 |
---|---|
import を忘れる | ライブラリは使う前に読み込む必要があります |
関数を定義しただけで呼び出さない | 関数名() を書かないと動きません |
同じ関数名を複数回定義 | 上書きされるので注意しましょう |
Colabで実行するとエラー内容が表示されるので、困ったときはChatGPTに貼り付けて質問しましょう。
まとめ|標準ライブラリ+自作関数でPythonをもっと便利に!
- 標準ライブラリを使えば、Pythonの機能を一気に広げられる
- 自作関数を使えば、よく使う処理をまとめて効率化できる
- ChatGPTとColabを組み合わせれば、疑問をすぐに解決できて学習がはかどる
Pythonの楽しさと便利さを実感できるステップとして、ぜひ標準ライブラリと自作関数を使いこなしてみましょう!
次回は「ラムダ関数」について解説していきます。お楽しみに!
▶ 次回の記事はこちら:
👉 ChatGPTで学ぶPythonラムダ関数入門